今、DV(ドメスティック・バイオレンス)は、非常に身近な社会問題のひとつになっています。
内閣府の調査報告※によると、3人にひとりの女性が夫から暴力を受けたことがあり、20人にひとりの女性がDVで「命の危険」を感じた経験をしていることが明らかになっています。
DVとは本来自分が一番安心できるはずの家庭で、一番信頼している相手から、思いもかけない状況の中で受ける暴力です。
人は日常的にこのような暴力を受け続けると、たとえその暴力から逃れることができても、心や身体に不調が生じたり、そのせいで人間関係の構築や経済的な自立が阻まれてしまうケースが数多く見られます。
「アフターDV」とは、DVを受けた後(長い時間が経過しているにも関わらず)、精神的、身体的、経済的にさまざまな生きづらさを抱えている状態を指します。
あなたが日々感じている生きづらさの原因も、こうした「アフターDV」の影響ではありませんか。
気になる方のご相談をお受けしています。
DV被害を受けた人は、不安、緊張、臆病、イライラ、感情の不安定さ、憂うつ、無力感、無気力、億劫さ、集中力や興味関心の低下、動悸、息苦しさ、不眠、悪夢、頭痛、肩こり、胃腸障害、高血圧など、さまざまな心身の症状が出やすいものです。
また、突然襲ってくるフラッシュバック体験など、PTSD(外傷後ストレス障害)に悩まされている人も少なくありません。
自分でもおかしくなってしまったのかとどこにも相談できずに不安を覚えたりしますが、過去に非常に怖い経験をした人なら、誰にでも起こりうることです。
この事実を知っておくだけでも、いくらかホッとできるのはないでしょうか。
さらに、同じような経験を持つ人やあなたを理解し受け止めてくれる人に、あなたの悩みや不安、今のつらさや本当の気持ちを語ったり相談することができれば、きっと心は軽くなり、症状も和らぐことでしょう。
さあ、勇気を出して私たちにお話しいただけませんか。
あなたはひとりではありません。
あなたを理解し、受け止めてくれるたくさんの仲間たちが、ここにはいます。
人は自分ではどうしようない状況で、日常的に苦痛を与えられつづけると、冷静に客観的にものを考えられなくなり、徐々に無気力になり、自分の本当の感情や自分を大切にしようという気持ちをなくしてしまうことが少なくありません。
「自分はダメな人間だ」「悪いのは自分のせいだ」と思い込まされ、誰にも相談できずに自分への自信を失うと、人との適切な距離感をもつこともむずかしくなり、引きこもりがちになって社会的にも孤立してしまうことにもなりかねません。
悪いのはあなたではありません。今のあなたは本当のあなたではありません。
自分を大切にしようという気持ちを取り戻すことができれば、笑顔も自信も、そして人とのより良い関係も、きっとあなたの元に戻ってくることでしょう。
DV経験者の女性の多くは、子ども抱え、収入も少なく、心身の不調に加え、生活面や経済的な不安を抱えています。
DV経験者でなくても、女性がひとりで子育てをしながら、経済的に自立していくのは大変なことです。
ましてDV経験者にとっては、さまざまな壁が立ちはだかり、せっかく勇気を振り絞って立ち上がっても、心が折れてしまうこともあるでしょう。
そんなときもひとりで悩まないで相談してみてください。
同じ悩みをもつ仲間と語り合うことで、解決の糸口が見つけられるかもしれません。
みんなで活動することで、社会的な理解や支援を得られるかもしれません。
また、アフターDVは、あなただけでなく、あなたの周囲にいる大切な人たちにも影響が及ぶことも忘れてはいけません。
あなたの笑顔が子どもを元気にし、大切な人たちを幸せにすることを忘れないでください。
あなたが笑顔を取り戻すことで、周りも大きく変わり始めることをぜひ実感していただきたいのです。そして、あなたの経験を社会的に活かすことで、あなたの人生が大きく動き出すことを体験していただきたいのです。一度相談してみてください。
あなたと、あなたの大切な子ども達の明るい未来のために、私たちと一緒に、新しい一歩を踏み出しましょう。
- フラッシュバック
- DVなど強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合に、後になっても、突然、当時の感情や身体感覚が襲ってくる現象(体験)。
- PTSD
- 「心的外傷後ストレス障害」と呼ばれるもので、心に加えられた衝撃的な傷が元となる、様々なストレス障害を引き起こす疾患のこと。DV経験者はPTSDを発症している人が多く、フラッシュバックもその症状の一つ。
さらに、DVは長期にわたって繰り返し被害が起こっている場合が多いため、普通のPTSDの症状に加えて、慢性的なうつ症状や解離症状、疼痛を含む多彩な身体症状、対人関係の不調、不安定な感情等変形のPTSD(C-PTSD)をもたらすことが確認されてきている。